プラかごにピクセル絵でステッチ
プラかごに、後差し模様、つまり後からバンドを差し込んで模様を作るという説明をすると、多くの人がまず「ドット絵」を連想するようです。ドット模様と紛らわしいので、本稿では以降「ピクセル絵」と呼ぶことにします。
ピクセル絵は、ビデオゲーム黎明期から親しまれてきた表現であり、現在では「ピクセルアート」として一つのジャンルを確立しています。平編みで作られる正方形のマス目は、まさにピクセル絵のキャンバスと言えましょう。
ということで、作ってみたのがこちら。絵心がないので、ドット絵ダウンロードサイト「DOTOWN」から「ひな祭り」の図案をお借りしました。

ピクセル絵のサイズに合わせて、フレームとなるプラかごのデータを作り、ペイントソフトで[プレビュー2]画像に色塗りしました。

三角にすると少し浮いてしまうので(写真右側面の下方)、基本は四角単位です。上下もしくは左右に差し込んで固定しますので、ピクセル1点に対し3点分の長さが必要です。とはいえ、端切れで済むので残りひもの活用には良さそうです。
内側と底です。ベースが白なので少し透けていますが、外側だけの模様です。
Square のデータです。ロゴ絵として、解像度を落とした図案を入れています。
表裏のあるバンドのかご
折りカラー編みは、裏表のない、つまり両面とも同様に使えるバンドが前提です。
では、表裏がある、つまり片面しか使えないバンドだったらどうでしょう。
二色を使ったとしたら、同じ様な模様が作れるのでしょうか。
片面にだけストライプがあるPPバンドで試してみました。

ドット模様のような交色にするのは断念しましたが、底が正方形のライン模様のかごならば、作れることが確認できました。このケースであれば、高さは任意ですし、縁をノコギリ状に始末することもできるでしょう。縦横とも単位の整数倍のタイプもいけそうです。
実はこの試みは、紙バンドの先生から、折りカラー編みについて次のように尋ねられたことがきっかけでした。
白樺細工の編み方と同じですか?
白樺細工(ネーベルスロイド)は、外側も内側も表面が出るように編んでいくので、紙バンドのように、上側だけで始末せず全体的に2重に編んでいきます。
このサイトは2022年末からですから、まだ新参者もいいところです。私が始めた頃にはすでに、白樺細工そのものではなく、「北欧風編み」として、紙バンドやティムテープでの作り方が確立されていました。材料も豊富に揃っていましたし、私も斜め編みの一種としてしか認識していなかったのです。
先生のお話をきっかけに、あらためて白樺細工について調べてみました。
すると、白樺の樹皮は、外側は白く、内側は茶色でしっとりとした風合いをもち、かごにする際には、基本的に樹皮の内側だけを使うということが分かりました。
なるほど、さすが紙バンドの先生です。
長年のご経験と知識に裏打ちされた視点だと感じました。
折り返して重ねるという構造は、まさに折りカラー編みそのものです。
では、色についてはどうでしょうか。
テープ状に加工した樹皮を、二色使いできないだろうか、と考えてみました。
まずは、表皮の白と内側の茶色を、二色として扱えないかです。
しかし、これはなかなか難しそうです。
二色が交差する高さ位置で対角線に折ったとしても、下図・左のように、同じ色が重なるだけです。では、下図・右のように、一色が交差する高さ位置[※]で、セットではなくどちらかだけ折り返すのは? でも、一本だけでは、内側と外側が分離してしまいます。
それならば別の方法として、内側が濃い茶色の樹皮と、薄い茶色の樹皮を選び、二色として扱うのはどうでしょうか。この場合、テープとして使う際には、その片面だけを使うことになります。
でも、折りカラー編みの交色は、どれか一本のバンドを辿ってみると、表側が表出している箇所と、裏側が表出している箇所の両方が組み合わさっています。そうなると「常に表側だけを見せる」という作り方自体が難しそうです。
結局のところ、この試作例の片面つまり表裏のあるバンドで作れたのは、既知のパターンをそのまま底まで折り返しただけのかごです。
ですから、このときに現れたライン(ストライプ)模様も、決して特別なものではありません。従来のやり方の延長で生まれる、ごく自然でシンプルな模様です。
何百年と続く白樺細工の歴史の中で、誰が作っていても不思議ではないと思います。
もし、それが実際には残されていないのだとしたら――
単色であることは、白樺という素材故なのか、製品としての哲学なのか。ご存じの方があれば、教えて下さい。
Square45のデータです。
「PPバンド(3本幅扱い)」に、赤ライン,青ラインを追加しましたので、設定ファイルもつけておきます。
編み模様の生成(Weaving Pattern Generator)
CraftBandMeshシリーズは、編みかごのデザイン用ソフトですが、機能には編み模様の生成が含まれています。バンドの幅や色・編み目(上下関係)を指定した時に、どんな模様になるか、画像としてプレビューできるのです。
『パソコンを使ってメッシュワークの模様をデザインしよう』講座では、この「編み模様」に焦点をあてて、実際に操作しながら、
について、色を変えたり編み目を変えたりしながら、模様がどう変わるかを見てみました。上下に組まれたバンドでは、上のバンドが模様色となります。メインのポイントは色、つまり、組み合わせの結果 色がどう出るのか、でした。
編み模様については、色とは別に、編み目(ひもの上下関係)を線画として使いたい、というご要望がありました。
言われれば確かに、網代編みの絵なんてソフトでは簡単に描けますが、これを手作業で作ろうとしたら面倒くさいかも。ソフトを使っていれば、普通に目にする図なのですが、改めて、デザイン素材風に作ってみました。
Square で、登録されている中から選んでみました。6×6単位の風車のようなパターンです。
Hexagon です。六つ目の三すくみはありふれているので、麻の葉にしてみました。
Hexagon です。鉄線編みです。
描画色は、いずれも基本色に「線のみ」を指定しています。線幅「3」ですが、描画色を自分で作ればもっと幅広に作ることもできます。
いずれも、単位の繰り返しで作られていますので、バンド本数を増やすだけで大きな図になります。縦横(Square系)については、ご自分で単位を作ることもできます。
デザイン図やテクスチャとして、様々な手芸・工作、資料作りなどにお使いいただけるのではないでしょうか。かごのデザインに限らず、編み模様の生成にも、ソフトを是非お役立てください。
謹賀新年
やってみよう 折りカラー編み(4)
2色の格子模様の箱が、ふたつできました。使用したテープ、本数、サイズ、編み方、すべて同じです。比べてみましょう。
底を格子模様にしても、斜めに立ち上げると、側面の格子模様は崩れます。
底の色配置を変えると、側面の格子模様を揃えることができますが、底は揃いません。
では、底と側面、同時に格子模様にすることはできるのでしょうか。
以下の図は、ひとつの角を中心に、その角の左側面と右側面を並べたものです。左図・左の側面、右図・右の側面は、それぞれ底と連続した格子になっています。でも、真ん中の図のように、その状態を角の辺から見ると、このふたつの側面が、物理的につながらない(編めない)ことがわかります。
つまり、揃った格子模様を全ての面に連続させることはできず、底もしくは側面のいずれかにしか作れないのです。
では、どちらのタイプを選ぶか。
- 底を揃えたければ → そのままタイプ
- 側面を揃えたければ → 配置換えタイプ
でしょうか。もちろん、このふたつ以外にもパターンはありますし、ありふれた格子よりダイナミックなブロックが良い、など好みもあるでしょう。
ちなみに、配置換えタイプについては、2本の色替えは折りカラー編み・斜め編みの高さとしてまとめられている、以下の式に基づきます。
(4 + 4)/2 = 4
4 - 2 = 2
カラフルで扱いやすい素材が豊富に揃い、誰もがそれを容易に手にできるようになった今の時代。
かご編みでは、編み幅や編み目だけでなく、色の組み合わせや、色によって生まれる模様そのものを、遊び、楽しむようになりました。
折りカラー編みは、そんな時代に生まれた技法です。

























